春の光を飲んでいる川、川に冬の皮膚を流した私、夕焼けに羽をからめるムク鳥、光の残骸を毎晩着る蟻・・こんにちは春。 「篠ア美江子」





 
 
 


「グラシン檸檬」


本屋を出て
グラシン紙に包まれたレモンを胸にたぐめ
ベンチに横たわり うとうとした…


…屋根がついた〈夢〉の内側に居た
耕された畑があった
入り口は小さいが
中はそこそこの奥行がある
ふと
『レモンを縦半分に切ったような小振りの靴』
が 一足並べてある
畑の隅々が 井戸の底のように暗い


靴の持ち主が
そこからひょっこり出て来たら
不老不死の人間のように感ずるだろう


それは
夜の暗さでは無く 天の暗さだった


篠ア美江子「グラシン檸檬」(未発表短編)より
19.4.10
                               

 
 『ことばのおへやvol.1』2018
  
『日本現代詩人会』 第6期入選 「口上」ホームページに掲載されています

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